理性。
今すぐにでも走りだしたい
ここから
どこか 遠く 遠く 遠く へ
昔から使えないままの絵葉書の言葉
わたしたちはどこへだっていけるし
何者にだってなれる
嘘だ
そんなことできやしない
ここから走りだしてしまいたい衝動だって
頭がおかしくなるくらい叫びたい心臓だって
ちゃんと 理性 とやらに守られているに違いないじゃないか
夏風の匂いは揺れるカーテンを抜けて苛立つほどに過去を連れてくる
あの日何度も繰り返し聴いていた音も
なんてことのないくだらない会話も
ふと薫る名前も知らない香水も
ただまっすぐ疑うことなく歩いた風景も
外国製のかっこつけたタバコの煙も
それでも 今 は流れている
嘘じゃないかも
理性なんて何億光年も先に置いてきていて
本当はもう走りだしていて
戻ることを考えられていなくて
失くしていたものを必死で探していて
とっくに底のほうまで溺れていること
同じ想いがそこに存在しているのなら